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映画『アメリカン・サイコ』の予告編
衝撃的な内容で話題となったブレット・イーストン・エリスの小説を「I SHOT ANDY WARHOL」のメアリー・ハロン監督が映画化したサスペンス・ドラマです。
舞台は80年代のニューヨーク。
27歳のヤッピー(若くして社会的に成功した都会人を軽蔑的に指す言葉)、パトリック・ベイトマン(クリスチャン・ベール)は一流企業の副社長。高級マンションに住み、美しい婚約者もいる彼の心には深い闇がありました。
映画『アメリカン・サイコ』のあらすじ(ネタバレなし)
パトリック・ベイトマンは誰の目から見ても社会的に成功を収めた証券会社のエリート。
住まいから持ち物、婚約者にいたるまであらゆるものが一流でありながら、常に他社と自身を比較し負けたくないという異常なまでの劣等感を抱いています。
自分と同じく成功している周囲の人間を脳内で何度も〇害する等の狂気を抱えていましたが、遂にある日、同僚のポール・アレンを自宅に招き、〇害してしまいます。
それをきっかけに、彼の内なる衝動は彼自身を更なる展開へと突き動かしていくことになります。
映画『アメリカン・サイコ』の解説
『アメリカン・サイコ』は80年代のマンハッタン・ウォール街を舞台としているため、当時のアメリカ社会を反映した作品です。
X世代と呼ばれる若者たちはお金や地位、名声に執着し物質的な充足を求めていました。
『アメリカン・サイコ』に登場する人物たちも自身の持つお金や地位をめぐりマウントを取り合い、お互いが自分こそが一番になりたいと思うばかりに、かえって無個性で同じようなヘアスタイルやファッションに身を包みます。
今はZ世代と呼ばれる若者が話題に上ることが多いですが、Z世代はブランドや表面的な名声に拘らない本質を重視する価値観を持っているため、『アメリカン・サイコ』で登場するX世代とZ世代の価値観はかなり異なっているとも言えます。
そんな今だからこそ、新鮮に見ることが出来るかもしれません。
印象的なシーンの一つとして、冒頭のシーンに魂の抜けたような表情で鏡越しに映っているベイトマンがミントのフェイスパックをしているシーンがあります。
『だが本当の俺というものは無い存在は有るが幻影のようなものだ』という彼の言葉がこの映画のキーワードでもあります。
映画『アメリカン・サイコ』のみどころ
『アメリカン・サイコ』のみどころとしては、まずは主人公パトリック・ベイトマン役のクリスチャン・ベールさんの演技力です。
端正な顔立ちと変幻自在の演技力で知られているクリスチャン・ベールさんですが、『アメリカン・サイコ』の魅力は彼の演技力によるところが大きいです。
映画自体は好みが分かれると言われる『アメリカン・サイコ』ですが、たとえ作品自体好みでない人でもクリスチャン・ベールさんの演技にしびれる人は多いです。
作品としては、ジャンルがジャンルなだけに目をそらしたくなるシーンもありますが、解釈が視聴者に委ねられている、という点が特徴的です。パトリック・ベイトマンはどう見ても狂人に見えますが、彼が物語の語り手になっていることで、視聴者からすると夢と現実の狭間で混乱するかもしれません。
脳内で整理しながら見ていくことになりますが、ベイトマン自身が狂人であるが故に視聴者は「これはベイトマンの見ている夢なんだ」と解釈することになるかもしれません。
しかし、監督・脚本を担当したメアリー・ハロンさんによると、このような解釈をされることは意図していなかったことであり、あくまでオープンエンドにしたかったそうです。
映画『アメリカン・サイコ』の感想
最初、『アメリカン・サイコ』という映画のタイトルを見た時、よくありがちなサスペンス映画かな、と思っていました。
しかし、実際は主人公のベイトマンの役のクリスチャン・ベールさんの演技力も相まって、没入感のある映画となっていました。
監督のメアリー・ハロンさんの言うように、原作と異なり映画版では解釈が予め用意されているために自由度が低く思えるかもしれません。しかし、そこを抜きにしてもサスペンス映画としてはまた観たくなる魅力のある作品でした。ネットでも解釈が分かれており、作中で亡き者にされたことになっている登場人物は実際には生存しており、〇害シーンはベイトマンの妄想だったのではないか、と解釈する声があるので繰り返し観てみるとまったく異なる感想を抱くかもしれないですね…。
映画『アメリカン・サイコ』の登場人物・キャスト
役名 | 俳優 |
パトリック・ベイトマン | クリスチャン・ベール |
ドナルド・キンボール(探偵) | ウィレム・デフォー |
ジーン(パトリックの秘書) | クロエ・セヴィニー |
イヴリン・ウィリアムズ(パトリックの婚約者) | リース・ウィザースプーン |
コートニー・ローリンソン(パトリックの愛人) | サマンサ・マシス |
エリザベス(パトリックの愛人) | グィネヴィア・ターナー |
ポール・アレン(パトリックのライバル) | ジャレッド・レト |
クレイグ・マクダーモット(パトリックの同僚) | ジョシュ・ルーカス |
ルイス・カルザース(パトリックの同僚) | マット・ロス |
デイヴィッド・ヴァン・パッテン(パトリックの同僚) | ビル・セイジ |
ティモシー・ブライス(パトリックの同僚) | ジャスティン・セロー |
ハロルド・カーンズ(弁護士) | スティーブン・ボガート |
クリスティ(娼婦) | カーラ・シーモア |
サブリナ(娼婦) | クリスタ・サットン |
デイジー(パトリックの同僚の恋人) | モニカ・マイヤー |
ヴァンデン | キャサリン・ブラック |
ヴィクトリア(クリーニング店の女) | マリエ・ダム |
ミセス・ウルフ(不動産業者) | パトリシア・ゲイジ |
アル(ホームレスの男) | レグ・E・キャシー |
映画『アメリカン・サイコ』のスタッフ
原作 | ブレット・イーストン・エリス |
監督 | メアリー・ハロン |
脚本 | メアリー・ハロン、グィネヴィア・ターナー |
製作 | エドワード・R・プレスマン、クリス・ハンリー、クリスチャン・ハルシー・ソロモン |
製作総指揮 | マイケル・パサーネク、ジェフ・サックマン、ジョセフ・ドレイク |
共同製作 | アーニー・バーバラッシュ、クリフォード・ストライト、ロブ・ワイス |
撮影監督 | アンジェイ・セクラ |
編集 | アンドリュー・マーカス |
音楽 | ジョン・ケイル |
音楽監修 | バリー・コール、クリストファー・カヴァート |
美術 | ギデオン・ポンテ |
衣装 | アイシス・マッセンデン |
キャスティング | ビリー・ホプキンス、スーザン・スミス、ケリー・バーデン |